日本という国は、チップという習慣がない。
日本人にとっては、
当たり前過ぎて気にもとめないが、
初めて日本にきた欧米人にとっては、
相当なカルチャーショックをうけるらしい。
「おもてなしの心」
そうと言うと、聞こえはいいが…
俺は、日本のこういった
道徳的な美しさだけにスポットを当て、
紋切型に素晴らしさだけを強調する
自意識過剰な文化が、どうも好きなれない。
今の日本は、飲食に限らず
サービス業は人手が足りていない。
その原因の一つは、ブラック企業に見られる
薄給激務な労働形態が問題だ。
だが、原因はそれだけではない。
日本人は、文化的背景から、
形がないものにお金を払う習慣がない。
情報はタダ、サービスは無料が当たり前
と思っている節がある。
従業員の立場がバイトであろうがなんであろうが、
お客様は神様として崇めねばならない。
一定水準以上のサービスが常に求められるのに、
賃金は低く報われない…。
となれば、他に選択肢があるのに、
そんな環境で働きいたい人がどれだけいるだろうか?
今や日本に滞在する
外国人さえ逃げ出すサービス業界。
もし、チップという文化が根付かないのなら、
賃金にその分が上乗せされなければ嘘だ。
「お客様の笑顔が元気の源です!
それだけで生きていけます!!」
いや…ムリだから。(笑)
どっかのブラック経営者ではないが…
それではタダの働き損。
労働の対価は賃金であって、
ここに道徳的な話を持ち込むのは、
論理のすり替え以外の何者でもない。
例えば、ハワイなんかで働く日本人は、
時給は5ドル位だったりする。
なのに月収は2500ドル以上は貰える。
つまり、収入の3分の2以上が
チップだったりするワケ。
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そう考えると、
いかに国内のサービス業が
悪待遇なのかよくわかる。
それでも、みな口を揃えて叫ぶのは
「おもてなし最高!」「万歳!」の言葉。
違和感を通り越して呆れてしまうのは、
自分だけだろうか…。
最近は、自分が神様だと崇められて当たり前
と勘違いしているモンスター消費者も増えてきている。
そういったモンスター消費者が、
低価格を売りにした商品にまで過剰な
サービスを求め、企業側は精神論で
従業員を必死になだめようとする。
この構図が、
最悪のマイナススパイラルを引き起こし、
労働環境を更に悪化させている。
ますます過酷さを極める中、
現場で働く従業員の方々には
本当に頭が下がる思いだ。
経営者として、
消費者の一人として、
サービスというモノのあり方、
そしてその価値を常に心に留めておきたい。